
あぁ、また眠れていないな…
患者さんのつらそうな顔を見て、そう感じたことはありませんか? 痛みや不安でなかなか寝付けず、夜中に何度も起きてしまう。そんな患者さんの様子を見ると、「なんとかしてあげたい」という気持ちになりますよね。
実は、睡眠は単に疲れを取るためだけのものではありません。患者さんの回復力そのものに直結する、とても大切な要素なんです 。睡眠不足が続くと、免疫力が低下したり、心臓や脳の病気が悪化したりする可能性があります。だからこそ、看護師である私たちが、患者さんの睡眠をきちんと評価し、適切なケアをすることが、合併症を防ぎ、回復を早めるための重要な一歩になるのです。
この記事では、忙しい現場でもすぐに使える、シンプルで実践的な睡眠アセスメントの方法をご紹介します。小難しい専門用語はなるべく避けて、明日から使えるチェックリスト形式でお伝えしますから、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

睡眠アセスメントと聞くと、なんだか専門的で難しそう…そんなふうに感じていませんか?でも、ご安心ください。やることはとってもシンプルです。看護の現場における睡眠アセスメントは、次の3つのプロセスでできています 。
- まず、患者さんの睡眠の様子を客観的に観察したり、眠れないという訴えをじっくりと聴いたりします 。
- 次に、集めた情報をもとに、なぜ眠れないのかという原因を深く分析します 。
- 最後に、その分析結果に合わせた、適切な看護ケアを計画して実行するんです 。
まるで、探偵が事件の謎を解き明かすみたいでしょう?
患者さんの睡眠問題は、たった一つの原因で起こることはめったにありません。まるで、いろいろな色の糸が複雑に絡み合った毛玉みたいなのです。たとえば、病気に対する不安(心理的要因)が夜間の不眠を引き起こし、それが生活リズムの乱れ(環境的要因)につながって、さらに病気の回復を遅らせる…なんていう負の連鎖も起こりうるんですよ 。
だからこそ、看護師は一つの要因にだけ注目するのではなく、患者さんの生活全体を広く見渡すような、多角的な視点が欠かせません 。この視点を持つことが、的確なアセスメントと、効果的な看護ケアへの第一歩になるのです。

さあ、ここからは実践編です!まずは、患者さんの眠りを妨げているかもしれない、5つの「隠れた原因」を探してみましょう。このチェックリストを使えば、複雑な毛玉の糸口がきっと見つかります。
- 心理・精神的要因:
- 「明日の検査、結果が怖いな…」
- 「家に帰ったら、ちゃんと生活できるかな…」 入院中の患者さんは、さまざまな不安を抱えています 。特に、夜は一人で考え込む時間になりがちですよね 。心配事が頭をぐるぐる回って、なかなか寝付けない…そんな状況が、不眠の大きな原因になっているんです 。
- 身体的要因:
- 「あぁ、お腹が痛い…」
- 「熱っぽくて、だるいな…」 痛みや熱、かゆみなどの身体的なつらさは、眠りを直接的に妨げます 。また、点滴の管や心電図のモニターが気になって、寝返りが打てず、リラックスできないということもありますよね 。
- 環境的・習慣的要因:
- 「隣の人のいびきがうるさくて…」
- 「いつもと違うベッドだと、どうも眠れない…」 普段と違う入院環境も、眠りを妨げる大きな要因です 。見知らぬ人と同じ部屋、消灯後の静けさ、慣れない寝具。家でぐっすり眠れていた人が、入院した途端に眠れなくなるのは、不思議なことではないんです 。
- 年齢的要因:
- 「年を取ると、朝早く目が覚めるようになってねぇ…」 高齢になると、若い頃に比べて眠りが浅くなり、夜中に何度も目が覚めたり、早朝に起きてしまったりすることが増えます 。これは体の自然な変化なので、過度な心配は不要ですが、アセスメントの際には考慮が必要です 。
- 疾病、薬剤、および飲料の影響:
- 「この薬を飲み始めてから、なんだか眠れなくて…」
- 「寝る前にいつものようにコーヒーを飲んだら、目が冴えちゃって…」 病気そのもの(睡眠時無呼吸症候群など)や、治療のために使われる薬(抗がん剤など)、さらには普段飲んでいるカフェイン入りの飲み物も、睡眠に悪影響を与えることがあります 。

患者さんの「眠れない」という言葉の裏にある「本当の気持ち」に耳を傾けてみましょう 。この対話こそが、アセスメントの最初のステップであり、最も大切な部分です。
- 患者さんと話すときのポイント
- 「眠れない」を掘り下げる:
「どんなふうに眠れませんか?」と具体的に聞いてみましょう。「なかなか寝付けない」のか、「夜中に何度も目が覚める」のか、それとも「朝早く起きてしまう」のか 。 - 「いつからですか?」:
眠れない状態がいつから始まったのかを聞くことで、入院した直後なのか、それとも元々持っていた問題なのかが分かります。 - 「眠れないと、どんな気分になりますか?」:
眠れないことへの焦りや不安など、患者さんの感情を理解することが、適切なケアにつながります 。
- 「眠れない」を掘り下げる:
日中の様子を観察することも忘れてはいけません。うとうとしていたり、疲れた様子を見せたりしていないか、日中の活動レベルはどうかなど、主観的な訴えと照らし合わせることで、より正確な情報を得られます 。

患者さんのお話だけでは、漠然とした情報になってしまいがちですよね。そこで、客観的な評価ツール(質問票)の出番です!これを使えば、患者さんの睡眠を「見える化」して、問題の性質や深刻さを数字で把握できます 。
特に、以下の2つのツールはとても有名で、使い分けが重要です。
| 質問票名 | 評価対象期間 | 主な評価項目 | 活用場面 | |
| セントマリー病院睡眠質問票 | 24時間以内 | 就寝・起床時刻、眠りの深さ、頭のすっきり感など | 入院直後や日々の状態把握 | |
| ピッツバーグ睡眠質問票 (PSQI) | 1カ月以内 | 睡眠の質、入眠時間、睡眠薬の使用など | 長期的な睡眠習慣の評価 |
【大胆予想】
今後、さらに進化した客観的アセスメントツールが登場するかもしれません。例えば、スマートウォッチと連携して、睡眠時間や心拍数、体動などを自動的に記録し、AIが睡眠の質を分析して、最適な看護介入を提案してくれる…そんな未来が、すぐそこまで来ている気がします(笑)。

アセスメントで原因が分かったら、いよいよ具体的なケアの始まりです。厚生労働省の指針にもとづいた、効果的な介入策を見ていきましょう 。
睡眠衛生指導
これは、ただ情報を伝えるだけではありません。患者さんと一緒に、どうすれば眠れるようになるかを話し合う、いわば「共同作業」です 。
- 「睡眠時間は人それぞれ!」と伝える:
8時間寝ないといけない、という固定観念にとらわれず、「日中眠くならなければOK!」と伝えることで、患者さんのプレッシャーを和らげてあげましょう 。 - 規則正しい起床を促す:
毎朝同じ時間に起きることで、体のリズムが整い、夜に自然と眠気が訪れるようになります 。 - 自分なりのリラックス法を見つける:
温かい飲み物を飲む、好きな音楽を聴くなど、眠る前の習慣(就寝儀式)を一緒に探してみるのも良いですね 。
室内環境の改善
意外と見落としがちなのが、環境の問題です。
- 光と音の調整:
アイマスクや耳栓を使ったり、カーテンを閉めたりして、外部からの刺激を減らしましょう 。 - 寝具と体位の工夫:
クッションやタオルをうまく使って、少しでもリラックスできる体勢を見つけてあげてください。

看護師の力だけでは、解決できないこともあります。特に、薬が原因だったり、重い病気が隠れていたりする場合には、他の専門職と連携することがとても大切です 。
- 医師との連携:
- 睡眠時無呼吸症候群など、基礎疾患が原因の場合 。
- 看護ケアを試しても改善が見られない場合、睡眠薬の処方を検討してもらう場合 。
- 薬剤師との連携:
- 患者さんが服用している薬の中に、不眠を引き起こす副作用を持つものがないか確認してもらう場合 。
私たちは、患者さんの睡眠問題を解決するための「チーム」の一員です。一人で抱え込まず、適切なタイミングで他の専門家を頼ることで、より質の高いケアを提供できますよ。

いかがでしたか? 睡眠休息アセスメントは、単なる業務ではなく、患者さんの未来を左右する極めて重要なプロセスであることがお分かりいただけたかと思います 。睡眠障害は、心理的、身体的、環境的、年齢的、そして薬物など、様々な要因が複雑に絡み合って起こるんです 。
でも、この記事でご紹介したチェックリストを参考にすれば、多角的な視点から患者さんの問題を評価し、エビデンスに基づいた個別的な看護介入を計画できます 。アセスメントは、患者さんの「眠れない」という言葉の裏にある「本当の原因」を見つけ出す、まるで名探偵のようなスキルです。
患者さん一人ひとりに合わせた環境改善や生活習慣の工夫、そして就寝儀式の導入をサポートすることで、あなたの看護はさらに質の高いものになります 。
もし、看護師の介入だけでは難しいと感じた場合は、一人で抱え込まず、医師や薬剤師と連携することもとても大切です。そうすることで、チーム全体で患者さんの安眠と回復を支えられますからね 。
この記事が、あなたの看護師としての自信とやりがいを少しでも増やすきっかけになれば、とてもうれしいです!日々の業務に、ぜひ睡眠アセスメントの視点を取り入れてみてください。

